2009年07月07日

千年の祈り、七月大歌舞伎

『千年の祈り』監督:王穎(ウェイン・ワン)、出演:ヘンリー・オー、フェイ・ユー、2007年、米・日、試写

アメリカに住む離婚した娘のことが気になって、はるばる北京から父親がやってくる。娘の一人暮らしの様子を観て、父は彼女が幸せではないと感じ、母親の死後、腕を上げた料理を振る舞い、娘の心を解きほぐそうとするのだが、彼女は父へのわだかまりがあり、父を避けよう、避けようとしている。

久しぶりにウェイン・ワンの映画を観た。昔の李安(アン・リー)の映画のようでもあり、小津映画的でもある。大きな事件は何も起こらず、とっても地味な作品だけれど、わたしは結構好きだ。どこまで行っても平行線に見える、父と娘。でも、互いに幸せでいて欲しいと願う心は同じ。そこを忘れずに、正直に話し合わないと、歩み寄れない。その時、子どもの側が譲歩することが大切なように思う。大概後悔するのは、残される側だから。

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2009年07月06日

牡丹亭、ワイルド・スピードMAX

『シネマ歌舞伎特別篇 牡丹亭』監督:十河壮吉、出演:坂東玉三郎、兪玖林、沈国芳、2008年、日本、東劇

坂東玉三郎が昆劇の名作「牡丹亭」を、昆劇の故郷蘇州で上演したときのドキュメンタリー(第1部)と舞台の映像(第2部)。
ドキュメンタリーでは、昆劇学院の役者と互いに互いの技を指導しあう姿や、南京大学での講演で学生たちと交流する様子が興味深かった。『覇王別姫』が日本で公開後、玉三郎が張國榮(レスリー・チャン)と会ったときの話がちょっとだけ出てくる。短いけれど、芸道を極めようとする人間同士、相通じ合うものがあったのだろうと思わせる内容だった。
舞台の方は、最初の方は一瞬眠気に襲われたのだけど、「離魂」の場面が素晴らしく、こちらの魂まで画面に吸い込まれそうになる。
「牡丹亭」って、てっきり悲劇なんだと思っていたら、最終的にはハッピーエンドで、すごく意外だった。

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2009年07月01日

いけちゃんとぼく、ディア・ドクター、劔岳〜点の記〜

『いけちゃんとぼく』脚本・監督:大岡俊彦、出演:深澤嵐、蒼井優(いけちゃんの声)、2009年、日本、109シネマズ川崎

毎日いじめっ子に殴られても、お父ちゃんが酔っぱらって死んでも、ぼくのそばにはいつもいけちゃんがいて見守っていてくれる。でも、いけちゃんが何なのかなんて考えたこともなかった。少しずつ大人になって、いけちゃんに会える時間が減っていった。

原作は立ち読みで読んだ(^^;)。絶対泣ける本とか言われていて、確かにラストでちょっとうるっときたけど、それよりもサイバラが恋愛ものを描いていることに驚いた。
映画は本よりもぼくが幼児期から少年期へと成長する過程についてエピソードを盛り込んで膨らましている。お父ちゃんの情けない部分に直面したり、どこへ行っても同じ様な力と力の争いがあって、きりなくむなしいことに気づいてしまったり、子ども時代の無邪気さを奪われる代わりに、自分で考えて行動する強さを手に入れていく様子は、頼もしくもあるけれど、寂しいような、可哀想なような、切ない気持ちにさせられて、映画の半ばからずっと泣いてた。

子ども連れのお母さん客が非常に多い。隣も2人の子どもと一緒だった。お兄ちゃんの方はポップコーンばりばり食べながら、映画に集中してたけど、妹の方は半ばぐらいから我慢ができなくなってきて、「帰る〜」。ちょっと映画に来るには幼すぎたね。

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2009年06月30日

松竹大歌舞伎(東コース)

松竹大歌舞伎(東コース)というのは、歌舞伎の夏の地方巡業。他に中央コースと西コースがある。今回、東コースは片岡仁左衛門を初めとする松嶋屋一門が出演していて、「正札附根元草摺」「義経千本桜 下市村茶店の場、釣瓶鮓屋の場」が演目となっている。仁左衛門さんは巡業への参加は10年ぶりだそう。“いがみの権太”は定評があるというし、『築城せよ!』を観て以来、気になっている愛之助さんもいい役で出演しているので観てみたくなって、初日の江戸川区総合文化センター(小岩)へ。

歌舞伎座以外で歌舞伎を観るのは初めて。あらためて歌舞伎座というのは独特な空間で、歌舞伎を観るには最適な場所なんやと実感する。何と言うたらええのか・・・ 幕が開いた瞬間に感じる「うわぁ〜〜〜」が違うのよ。具体的に何が違うのか、もひとつようわからないんやけど。建て変わっても、あの感じは残るんやろか・・・

今回初めてイヤホンガイドを借りてみた。確かにただ観ていたんではわからないことがわかって面白い。けれど、片耳ふさがれると舞台の音が聞きにくいし、うちみたいなシングルプロセス人間には解説聞きながら舞台に集中するのは難しくって、痛し痒し。幕間に色々背景説明をしてくれるのは暇つぶしにもなってありがたい。

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2009年06月25日

風のかたち、大きな家

『風のかたち −小児がんと仲間たちの10年−』監督:伊勢真一、出演:小児癌を患った子どもたち、2009年、日本、試写

1999年から10年来、伊勢監督は、小児癌の子どもたちと医師の病気との闘いと、彼らが毎年行ってきたサマーキャンプの様子を撮り続けてきた。小児癌はもう不治の病ではない。8割は完治できるという。それでもその治療は難しく、患者にとってつらくて苦しいものであることは変わらない。社会的偏見もあるし、本人も子どもの時期に大きな病気をしたことで他の人たちと同じように元気に暮らしていけるのかという不安を抱えている。何より幼くして死と直面するつらい体験は経験したものでなければわからない部分が沢山ある。
サマーキャンプは、聖路加国際病院小児科の細谷先生たちが中心となって始められた。今現在病気と闘う子どもたちや、かつて闘って克服してきた子どもたち、そして医師や看護師たちが全国から集まって海や山でキャンプをする。そこでは悩みや不安を、何の前置きもなく話すことができる。みんな心底楽しそうな顔をしている。友となって別れのときにかわされる「来年もまた会いましょう」という言葉の重さは、普段使われるよりもずっとずっと重い。

人の痛みを深く思いやり、人を助ける仕事がしたいと語る子どもたちがいる。病気を克服し、大きくなって、「看護師になりたい」「お母さんになりたい」という夢を実現した子どもたちがいる。10年という長い歳月を地道に撮り続けたことによってカメラがとらえられた「希望」。ささやかに、光り輝く。

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2009年06月24日

マン・オン・ワイヤー、ラッシュ・ライフ、精神

『マン・オン・ワイヤー』監督:ジェームズ・マーシュ、出演:フィリップ・プティ、2008年、イギリス、テアトル・タイムズ・スクエア

今はなきNYの世界貿易センタービル(ツインタワー)の間にワイヤーを張って綱渡りをした男、フィリップ・プティのドキュメンタリー。このビルの建設計画の新聞記事を見た瞬間に、「ここで綱渡りをしたい!」という思いに取り憑かれてしまったというから、尋常じゃない。警備が厳重なビルに忍び込んで実行する計画は、まるで銀行強盗でもしにいくかのよう。天空に張られた1本のワイヤーの上を人間が歩き、寝そべる姿は、何とも言えず不思議で優雅な光景だった。
現在のフィリップ・プティとこの計画にたずさわった仲間たちへのインタビューと、再現映像で綴られている。ハイテンションでよく喋るフィリップと彼を支えた仲間の様子の温度差が興味深い。このことで一躍時の人となったフィリップだが、一方で妻とも仲間とも絆が壊れてしまったらしいことが見て取れる。人間、すべてを手に入れることは難しい。

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2009年06月18日

女殺油地獄、空気人形

歌舞伎座の6月公演昼の部で片岡仁左衛門主演の「女殺油地獄」が上演されている。仁左衛門さん自身は「これは若い人がやった方がいい役だから」と10年前に、これきり最後と言って上演した。でも、今回は歌舞伎座のさよなら公演でどうしてもと請われて「もう、ほんまに最後です」と言って今月上演している。片岡孝夫時代の当たり役として有名なこの演目、わたしは観たことがなかったので、この最後のチャンスにどうしても観たかった。チケットは気がついたときには、全日売り切れ(夜の部は全日残ってるのに^^;)。なんで、初めて一幕見に挑戦した。

念のために1時間以上前に行ってみると、すでに長い行列が! 係の人に聞くと、その更に1時間前から並び始めていたらしい。「女殺〜」は4幕目。そのときは丁度3幕目の「蝶の道行」の一幕見の受付が始まろうとしていた。聞けば3,4幕分のチケットを一緒に買うこともできるし、すでに立ち見で、もうすぐ札止めだとも言うので、この際だと思って3幕目から観ることにした。

一幕見の席は急な階段を登って4階。座席はすでに一杯でその後ろに立ってみるスペースがある。立つ場所も2列あり、前列は手すりにちょっと寄っかかれるようになっていて、後列にはひな壇があってそこに立って壁に寄りかかれる。前回座った花道に近い側の3階端っこの席は、花道も舞台の左側も見えず、かなりいらついた。今回の方が遠いけれど、舞台は全体を見渡せ、花道はほとんど見えないけれど、役者が最後の見得を切るあたりまでは何とか見える。ただし、わたしが立った位置の頭のすぐ上にエアコンがあってうるさくて、役者の声がちょっと小さいとセリフが聞き取れない。立ち位置は吟味した方がいい。

よく知らずに観た舞踊「蝶の道行」が、とても美しかった。生前に結ばれることのなかった恋人たちが蝶になって春の野を舞う明るい前半と、地獄の責め苦に遭って悲劇的な最期を遂げる後半の対比が面白い。舞台は春の野ということで、2人が蝶のサイズに見えるよう、たくさんの大きな花が描かれている。でも、描かれている花が夏や秋のものが多いのはなんでやろ。

お目当ての「女殺〜」はやはり面白かった。浪速のアホぼん・与平が口からでまかせ、見栄の張りっぱなしで、とうとう商売仲間で身内同然の付き合いをしていた家の奥さんを手にかけてしまうまでを描いたお話。1度は改心するかに見えたアホぼんが殺人にいたるまでの急展開と、暗闇で油まみれになって転がりながら手を下す場面は、一瞬で芽生える殺意と緊張、無我夢中で飛びかかり、次第に殺しに快楽すら感じ始めるのに、いざ殺してしまうと急に恐ろしくなる与平の変化がよくわかる。ここの部分の音楽も秀逸。どんなアホでも見捨てられない切ない親心を描く部分も見どころ。性根の腐ったアホやけど、なんかどっか憎みきれず、色気のある男やった。仁左衛門さんは「こういう若さを出す演技はもう疲れるんです」と言ってはったけど、うちはこのチャンスを得られてほんま良かったと思う。2時間半立ち見はさすがにしんどかったけど。

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2009年06月17日

アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン

『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』監督:トラン・アン・ユン、出演:ジョシュ・ハートネット、木村拓哉、イ・ビョンホン、余文楽(ショーン・ユー)、2009年、フランス、川崎TOHOシネマズ

殺人鬼の捜査で自らも狂気の縁に立ってしまった元刑事クライン。彼は世界一の製薬会社社長から行方不明の息子・シタオを探しだして連れ帰ることを依頼される。シタオの足跡をたどって行き着いた香港で、友人の刑事メンが追うマフィアのスを知る。スは愛する女リリが行方不明になり、狂ったように探していた。そのリリはシタオによってヤク中の苦しみから救われていた。シタオには人の苦しみをその身に引き受けて癒す不思議な能力があるのだった。

トラン・アン・ユンによる、現代の、しかもアジアにキリストが降り立ったらどうなるかについての思考実験のように感じる。救済がテーマだけれど、聖なる空気はなく、むしろ性なる空気に満ちている。
ジョシュもキムタクもビョンビョンも肉体をさんざっぱらさらけ出し、苦悶の表情を浮かべる。ジョシュは王家衛(ウォン・カーワイ)作品の梁朝偉(トニー・レオン)のごとく、白ブリーフいっちょで苦悩する。キムタクは白だったけどブリーフじゃなかったな。あそこはやっぱり薄汚れた白ブリーフでしょう。浮浪者のような生活してるんだから。ツメが甘いな。
ビョンビョンは女を失ってずっと泣きそうな顔しながら、トンカチで人殺してた。殺されるのは呉嘉龍(カール・ン)。
香港映画ファンとしては、ロケの大部分が香港で、香港の俳優が他にも結構でているのが見逃せない。余文楽(ショーン・ユー)はクラインを補佐するかなり重要な役。他にも李燦森(サム・リー)、谷祖琳(ジョー・コク)。ビョンビョンの手下をやっていたのは、名前は知らないけれど『傷だらけの男たち』で強姦殺人魔&ストーカー男をやっていた彼だよな。

劇場にはレディース・デイということもあって、99%女性客でかなり埋まっていた。帰りしなに耳に入ってきた会話。「よくわからないというか」「感想の言いようがないね」

ところで「シタオ」ってどこの国の名前なんだろう・・・

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2009年06月10日

ウルトラミラクルラブストーリー、イサム・カタヤマ=アルチザナル・ライフ、ハゲタカ

『ウルトラミラクルラブストーリー』監督:横浜聡子、出演:松山ケンイチ、麻生久美子、2009年、日本、川崎TOHOシネマズ

青森で農業をして暮らす陽人は東京から来た町子先生に一目惚れし、両思いになりたいと突き進む。

わけがわかりません。まさしく予測不能です。左脳で観ると痛い目にあいます。でも、松山ケンイチの一挙手一投足からも首のないARATAからも目が離せません。熊が・・・ 熊が・・・

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2009年06月06日

ターミネーター4

『ターミネーター4』監督:マックG、出演:クリスチャン・ベイル、サム・ワーシントン、アントン・イェルチン、2009年、アメリカ、チネチッタ川崎

審判の日後、わずかに残った人間とスカイネットとの戦いが続く2018年。ジョン・コナーは抵抗軍のリーダーとして戦っていたが、母から聞いていた未来と少しずつ違ってきていることに戸惑いを感じている。自分の父となる少年カイル・リースは存在するはずだが、未だに出会えていない。スカイネットもカイル・リースを探していた。そしてマーカス・ライトという謎の男が現れる。

旦那がターミネーターシリーズを大好きなもので、先行上映に行ってきました。これもトレイラーをみて「あ〜あ、なんだかわかちゃったな・・・」とがっくりした。大方予想通りだったが、最後は意外な展開。今年に入って3本目のアントン・イェルチンくん。華奢でひ弱そうに見えて、生きる知恵と度胸に溢れたカイル・リースを、これまでとはまたぜんぜん違った雰囲気で演じていました。
ここから、思いっきりネタバレなんでご注意を!

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posted by amui at 00:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 其他電影 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする