2008年10月29日

ICHI

『ICHI監督:曽利文彦、出演:綾瀬はるか、大沢たかお、中村獅童、窪塚洋介、2008年、日本

座頭市を若い女性に置き換えてみたら、一層切ないお話になった。このアイデアはなかなか面白いと思う。盲目で、なまじ美しい女性故に過酷な人生を強いられる。その哀しさは勝新太郎の演じた座頭市以上。でも、それゆえに話に軽みは全然ない。強いて言えば、刀の抜けない侍役の大沢たかおが一人で軽みをしょっている。
いかつい適役の中村獅童は、今回は歌舞伎もの的な派手な衣装で登場。立ち姿はさすがに様になる。似合ってしまうだけにこの手の役が多い。なんで、みんな同じにみえちゃうのよね。同じと言えば、竹内力。『次郎長三国志』と全然かわらん。
綾瀬はるかは一見どんくさそうに見えるけど、かなり運動神経がいいらしい。殺陣がなかなかさまになっていた。この方、かなり売れっ子やね。今年だけで映画4作品、うち主演3作ですよ。うちにはもひとつ魅力がわからないんやけど。

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2008年10月25日

ポケットの花

『ポケットの花/口袋里的花』監督・脚本・編集:劉城達(リュウ・センタック)、出演:ウォン・ズィージャン、リン・ミンウェイ、李添興(ジェームス・リー)、マレーシア、2007年、TOHOシネマズ六本木ヒルズ

中国系の父子家庭で育つ兄弟は学校の勉強にもついて行けず問題児扱いされている。父親はマネキンを作る仕事をしているが、子どもたちの面倒はほとんど見ていない。どうやら子どもたちの母親に出ていかれ、ひどく傷ついているようだ。いつも兄弟二人だけで遊んでいるところへ、マレー系の元気な少女がやってきて仲良くなる。彼女の家はどうやら母子家庭。彼女の招きで初めて兄弟は暖かい食卓を経験し、世界が少し広がっていく。

一つ一つのシーンにユーモアが潜んでいる。多くは語られないけれど、うちに秘めた感情はちゃんと伝わってくる。監督は29才とまだ若い。これからが楽しみ。
タイトルの「ポケットの花」とはカーネーションのことだそうだ。監督が日本に来たときに会ったジャーナリストが、ちょうど母の日でカーネーションの色にまつわる話をしてくれたという。そこから、母の思い出が全くない子どもたちは、何色のカーネーションを胸のポケットに刺せばいいのだろうという思いを持って、この物語を作ったのだという。

うちは今日で映画祭終了です。今年観たのは12本。マイベストは『生きていく日々』でした。

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2008年10月24日

愛の十年、生きていく日々、クロッシング

『愛の十年/十分鍾情』2008年、香港、TOHOシネマズ六本木ヒルズ

香港返還後の10年をテーマに、10人の監督が10本の作品を撮るという企画で始まったものが、1本は内地の検閲を通すことが難しくて9本になってしまったという。
9人の監督は林愛華(オーブリー・ラム)、陳榮照(アーチウ)、麥子善(マク・チーシン)、黄精甫(ウォン・ジェンポー)、林華全(ラム・ワーチュン)、張偉雄(チャン・ワイホン)、袁建滔(トー・ユエン)、楊逸徳(タッキー・ヤン)、李公樂(リー・コンロッ)
香港返還後の10年というと、金融危機、SARS、内地との関係の緊密化による経済復興などが社会的に大きな出来事といえる。これらをベースにした物語もあったけれど、10年にこだわらないいろんなタイプの作品が集まっていた。そこそこ面白いけれど、どれも小粒な感じがいなめない。

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2008年10月23日

九月の風、ハムーンとダーリャ

『九月の風/九降風』監督・脚本:林書宇(トム・リン)、出演:鳳小岳(ライディアン・ヴォーン)、張捷(チャン・チェ)、王柏傑(ワン・ポーチェ)、邱翊橙(マオディー)、2008年、台湾、TOHOシネマズ六本木ヒルズ
1996年に起きた台湾野球界の八百長事件を背景に展開する、7人の男子高校生のほろ苦い青春物語。
前半のやんちゃやっている男の子たちのきらめくような映像が素敵だ。それが八百長事件を報じるニュース映像後から一転して、無邪気な世界は消え去っていく。友情も愛情も生命ももろくてあっけない。それでも前進する勇気を捨てなければ希望はあるということを、説教臭くなく、とてもさわやかに、夢のある映像で見せてくれる。すごくいい映画。
監督は2006年にアジア海洋映画祭in幕張で上映された『海岸巡視兵』の監督。今後に一層期待。

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2008年10月22日

陸軍中野学校、ワンダフル・タウン、ムアラフ-改心

『陸軍中野学校』監督:増村保造、出演:市川雷蔵、小川真由美、加藤大介、1966年、日本、ル・シネマ2

日中戦争が始まったころ、一流のスパイを養成するために、優秀な人材が極秘に集められる。スパイになると言うことは、それまでの人生も、前途ある未来も捨てることを意味する。初めこそとまどい、厳しい訓練に落伍者もでるが、創設者の国を憂う熱い思いに共鳴していく。そしていよいよ卒業試験として、イギリス大使館から暗号コードの情報を盗むミッションが与えられる。

CSでも盛んに放送していたんですけど、どうしてもスクリーンで観たくて行きました。
主演は雷蔵やけど、前半は群像劇の比重が高くて、彼はあまり目立たない。仲間が集まっているシーンなど、一番奥の方にたたずんでいたりする。それでも際だってクールな佇まいが視線を惹きつける。

彼らは自分の歩く道を外的な力で否応なく変えられてしまう。でも一方で、その思っても見なかった道を自ら突き進んで行っている。その結果、最愛の人を失う悲劇になろうとも、もうそれは運命にもてあそばれたなんて情緒的な表現にはあてはまらない。増村保造の作品というのは、本当にクールだ。

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2008年10月21日

夏休みの宿題、些細なこと

『夏休みの宿題』監督:セイフィ・テオマン、出演:タネル・ビルセル、タイフン・ギュナイ、2008年、トルコ、TOHOシネマズ六本木ヒルズ

ハサンは夏休みが明日から始まるという日の学校帰りに、夏休みの宿題帳をいじめっ子に取られてしまった。取り返すこともできず、本屋さんにも売ってなくて、そのまま夏休みは始まる。夏休みといっても、父の言いつけで仕事の手伝いをさせられる日々だった。兄も軍の学校から帰省してきた。兄は軍人にはなりたくない、大学に行きたいと言うが、厳しい父親はそれを許さずケンカになる。母は父の浮気を疑っている。問題山積みの状態の中、突然父親が倒れてしまう。

ものすごく楊徳昌(エドワード・ヤン)や侯孝賢(ホウ・シャオシエン)的な映画だと思ったら、監督は台湾ニューウェーブからの影響を受けたと自分で言っていた。もちろん小津も。
夏休みの宿題というタイトルは、夏休みには詰め込み式の課題をこなす宿題ではなく、いろんな経験を積んで成長するべきだという、国の教育システムへの批判が込められているという。

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2008年10月20日

陽もまた昇る

『陽もまた昇る』監督:姜文(チアン・ウェン)、出演:房祖名(ジェイシー・チェン)、陳冲(ジョアン・チェン)、黄秋生(アンソニー・ウォン)、2008年、中国、TOHOシネマズ六本木ヒルズ

これストーリーを説明できない。時間軸はバラバラ、登場人物たちも関係がなくバラバラに見えているものが、次第に関係性が見えてきて、最後はぐるりとメビウスの輪のようにつながっている。その輪と呼応するかのようにカメラも人物の周りを執拗にグルグルと回る。こっちの目も回ってクラクラしてくる。撮り方や構造は面白いんだけど、メッセージがうちには読み取れなかった。
でも、陳冲(ジョアン・チェン)と黄秋生(アンソニー・ウォン)の絡むシーンは、大爆笑させていただきました。陳冲のさかりのついた猫みたいなお色気おばはんも凄いし、彼女に迫られて唖然呆然の黄秋生の表情のおかしさったらない。

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2008年10月19日

ピート・テオ at 原宿クロコダイル

Peteteo1019ほぼ1年ぶり、ピート・テオさんの来日ライブがあったので行ってきました。

今回は初めて、ドラムもいれたバンド形式。
ベースは早川岳晴さん。ギター二人とドラムはテンパード・メンタルというマレーシアのプログレ・ロックバンドのメンバー。まだ若い。リーダーはメリーナ・ウィリアムという女性だ。

1stセッションは、ピートさんのギター弾き語りで始まる。彼自身「too depressive」と言うように、憂鬱で内省的な曲が3曲続く。4曲目からメリーナのギターと早川さんのベースが加わり、少し気分も上昇傾向。1stはたしか全部で6曲。
2ndセッションは、ピートさんが「Party!」と宣言したように、ドラムともう一人ギターを加えたフルバンドで、思いっきり元気よく始まった。おぉ、これまでになくロックしてるぅ。ものすごい低空飛行で始まったのが、徐々に上がって、最後は成層圏へ達するって感じのライブでした。

次はうちがマレーシアに行ってライブを観るぞ!

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2008年10月18日

東京国際映画祭開幕

Tiff01今日から東京国際映画祭のはじまりはじまり〜。

オープニングイベントの取材に行ってきました。
レッドならぬグリーンカーペットは午後4時半スタートなんですが、取材受付の締め切りは午後2時。12時半には到着したけど、すでに200人近いカメラマンが並んでた。ひえ〜〜〜〜

今回は、グリーンカーペットとアリーナイベントの二つ取材ポイントがあり、うちはカメラの装備的にグリーンカーペットはきついので、アリーナを選んだ。2時から六本木ヒルズタワーの49階で説明があり、3時に下の現場へ移動。このときにはもっと凄い人数になっていて、エレベーターでピストン輸送するのも一苦労。30分ぐらいかかったと思う。

4時半から6時まで、次々に来るゲストを撮りまくる。2段の脚立を立てて座ると高くなりすぎるからNGと言われ、横倒しにして座ることに。金属の棒の上におしりを乗せている状態なので、1時間半痛かったぁ。

今年は麻生総理がカーペットのトリを歩くと言うことで、警備の規模もハンパない。アリーナの横にある巨大スクリーンに映し出されるカーペットの模様を観ていたら、麻生首相と呉宇森(ジョン・ウー)監督夫妻、梁朝偉(トニー・レオン)、金城武が一緒に歩いている。そしてその周りを黒服のSPがぐるりと舟形に取り囲んでいる。これって北京オリンピックの聖火ランナー警備の時と同じフォーメーションじゃない。沿道でトニーや武ちゃんを目当てにしていたファンは、SP多すぎてちっとも見えへんかったんとちゃうやろか。

アリーナイベントは6時で終わり。そのあとTOHOシネマズのスクリーン7でオープニングセレモニーが行われた。しかし、ここへは取材陣もムービー以外は入れず、そのままアリーナに残ってスクリーンに映し出される中継映像をまったりと観ていた。
うちも、このスクリーン7のチケットを獲ろうとした一人なんやけど、全然あかんかった。映し出された客席の模様をみて、さもありなんと思った。なにしろ来賓席が多い。一般客用の席なんてほんのちょっとしか出なかったに違いない。

オープニングイベントについてはシネマジャーナルWEBに記事を掲載しています。写真アリ。

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2008年10月09日

未来を写した子どもたち、斬KILL

『未来を写した子どもたち』監督・撮影:ロス・カウフマン&ザナ・ブリスキ、2004年、アメリカ、試写
アメリカ人フォトジャーナリストのザナは、インドのコルカタの売春窟で女性たちを撮影したいと思って、自らもそこに暮らし始める。彼女のもつカメラに興味を示したのは子どもたちだった。そこで彼女は彼らにカメラを与えて自由に撮らせる写真教室を始める。写真を撮って、作品を作るという行為を通して、子どもたちは次第に自分を表現することを知り、未来を思うようになっていく。
ザナは子どもたちに写真を教えるだけでなく、学ぶ機会を与えるためにあらゆる面でサポートしようと奔走する。この後、彼女たちの活動は「Kids with Cameras」という基金設立にまで発展した。

子どもたち中に一人、これがきっかけで現在NY大の”Tisch School of the Arts」にまで進学した少年がいる。この子の撮った写真は、明らかに他の子どもたちのものとは違う。もともと絵が上手で何度も表彰されたことがある子なのだが、いやはや天賦の才というのは本当にあるもんだと感嘆した。

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2008年10月08日

次郎長三国志、トウキョウソナタ、文雀

『次郎長三国志』監督:マキノ雅彦、出演:中井貴一、鈴木京香、2008年、日本、チネチッタ

次郎長が任侠道で名をはせて、世間も認める親分になっていくが、甲州黒駒の勝蔵との勢力争いで、子分をやられ、恋女房のお蝶までも傷つけられて、窮地に陥る。

往年の娯楽時代劇を思い出させるつくり。芸達者な役者がそろったのはいいけれど、ちょっと年食い過ぎてる感じがいなめない。こんだけ役者をそろえておきながら、結構重要な役所の久六が蛭子能収なのは演技の下手さが際だっていただけない。
観客の年齢層は非常に高かった。ピンポイントねらい打ちの効果なのか、結構客の入りは上々。この客層にうける映画が少ないからねぇ。

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2008年10月07日

ディスコ、ある脅迫

『ディスコ』監督・脚本:ファビエン・オンテニエンテ、出演:フランク・デュボスク、エマニュエル・ベアール、ジェラール・ドパルデュー、2008年、フランス、試写
昔はディスコキング、今はしがない40男が、旧知のディスコオーナーの主宰するダンスコンテストに出場し、優勝賞品のオーストラリア旅行をなかなか会えない息子のために獲ろうと奮闘するお話。
会場へ行く道々『ミラクル7号』のエンディング曲でもある「サニー」が頭の中をグルグル回っていた。そしたらいきなりまさにその「サニー」から映画がはじまったので吹き出しそうになった。自分はディスコへ行った世代ではないけれど、アース・ウィンド&ファイアーとか好きで、映画に使われていた曲はほとんど知っていて、聞けばついウキウキして身体が動いてしまう。
主役の男たちはほんとイタ〜い感じで情けない。それが最後の優勝決定戦で、ものすごく生き生きと楽しそうに踊るシーンでは「やるじゃ〜ん!」と拍手したくなる。このシーンがウルトラハイパーに上手いってんじゃなくて、40代が一所懸命がんばった結果、リアルにここまで上達して自分たちも嬉しいし楽しいですって感じなのがなかなかいい。
バレエの先生役でエマニュエル・ベアールが出演している。こんなキュートではじけた役柄の彼女は初めて観た。特に優勝決定戦での彼女のファッションはぶっとびです。でもかわいいんだ。

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2008年10月04日

容疑者Xの献身

『容疑者Xの献身』監督:西谷弘、出演:福山雅弘、柴咲コウ、堤真一、2008年、日本、109シネマズ川崎

石神は隣人の花岡母子が別れた亭主をはずみで殺してしまったことを物音で知ってしまう。石神は花岡親子を助けようと、様々な工作を施す。数日後、顔をつぶされ、指を焼かれた死体が発見され、事件の捜査に乗り出した内海刑事たちは花岡のアリバイ確認にやってきた。そのとき、内海は隣人の石神が湯川と同じ帝大出身者であると知る。果たして彼は湯川の親友で、湯川をして「本物の天才」と言わしめる人物だった。事件の相談を受けた湯川は背後に石神の陰を感じる。

物語が面白くて、原作の力を感じる。石神の仕掛けの意図が明らかになるにしたがって、切なさが加速するのがいい。福山、柴咲が主演ということになってるけど、映画の主役は完全に堤真一演じる石神やった。
テレビシリーズもときどき見てた。ドラマでは毎度湯川が、何か思いつくとところかまわず計算を始める。けど、心理問題としか思えないような場合でも、それをやっていて「いったい何を計算してんねん?」と笑っていた。映画では謎が完全に科学問題ではなかったので、さすがにそういうシーンはありませんでした。
それからいつも事件解明のために結構大がかりな実験をしてみせるけど、この人たかだか大学の先生でその費用はどっから出ているんだろう? 今回も冒頭に派手なの一発やってみせる(しかも本題とは全く関係ない)。警察からお金が出ているのかと思ったけれど、刑事の内海が「いったい何をするんですか?」と実験前に聞いているくらいなんで、さすがに何やるかわかんないようなことにお金出さへんよなぁ。さらに、この実験のとき、強力な磁場を発生させたために湯川の横にあった時計は止まっていたけれど、同じ場所で湯川はPCを使っていた。普通時計よりPCの方が壊れるんちゃうん!? さっぱりわからない(笑)。

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2008年10月03日

ブタがいた教室

『ブタがいた教室』監督:前田哲、出演:妻夫木聡X26人の子どもたち、2008年、日本、試写

新任教師の星先生は、小学校6年生のクラスの担任となる。4月、クラスのみんなにブタをみんなで飼って、卒業するときにみんなで食べようと提案する。子どもたちは先生の想像以上にブタを飼うことに夢中になる。Pちゃんと名付け、餌の世話、糞の始末、体調管理とみんな一所懸命世話をしてかわいがった。そのうちに、Pちゃんを食べたくないという気持ちが芽生え、自分たちの卒業後、Pちゃんをどうするかについて、大論争になる。

1990年に実際にあったエピソードが、1993年にドキュメンタリーとしてテレビ放映され大反響を呼んだそうだ。少なからず批判もあったという。
これはそのドキュメンタリーを見て素晴らしいと思った監督が、劇映画としてあらためて撮った作品。劇映画だけれど、子どもたちには結末を知らせず、本気でPちゃんについてディベートさせている。Pちゃんを食べるか、食べないかだけでなく、食べるってどういうこと? 生きるってどういうこと? 人間てなに? といった難しい問題にまで考えが至って、答えはなかなか見つからないけど、真剣に考えている。その真剣さが痛いほど伝わって来て、観ているこっちも心が震える。
これは学校でみせて欲しい映画だなぁ。

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2008年10月01日

わが教え子,ヒトラー、小さな赤い花、女工哀歌

『わが教え子、ヒトラー』監督・脚本:ダニー・レヴィ、出演:ウルリッヒ・ミューエ、ヘルゲ・シュナイダー、2007年、ドイツ、ル・シネマ

第2次世界大戦末期、ドイツは徹底抗戦を唱えていたが連合軍によって首都すら破戒し尽くされているありさま。軍部は国民に再度の結束を促すためヒトラーによる大演説を計画するが、当のヒトラーはすでに自信喪失し鬱状態で演説などできる状態でない。ヒトラーを復活させるため、首脳部はかつてヒトラーに演説法を教えたユダヤ人俳優を収容所から呼び寄せる。

実際にヒトラーに演説法を教えた人物がいて、それはドイツ人俳優だった。映画はそこをユダヤ人に変えることによって、強烈なブラックユーモア溢れる悲喜劇となっている。ドイツじゃだいぶん先の戦争を客観的に観られるようになってきたってことやろかね。日本だったら東条英機とか、天ちゃんとかを題材にコメディを作ったようなもんかな。誰も作りそうにないなぁ、日本じゃ。
常に生命を奪われる危険がある中での滑稽きわまりない状態なので、観ていて緊張しながらも大笑いしてしまう。ちょっと普段の生活ではあまりない心理状態になれた。
主演のウルリッヒ・ミューエは『善き人のためのソナタ』の主演で深い印象を残していた。残念ながら癌で去年お亡くなりになり、これが遺作となってしまった。ご冥福をお祈りします。

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