2007年10月21日

第20回東京国際映画祭 その1

Tiff2007 02今年の映画祭期間中の平日は、実家に帰る予定だったので、あんまりたくさんは観られなかったけど、観た作品は全部面白くって満足、満足でありました。

『忠次旅日記』監督:伊藤大輔、出演:大河内傳次郎、中村英雄、1927年
ニッポン・シネマ・クラシックのオープニング作品。オープニングということで、はじめにプログラム・ディレクターの品田雄吉氏とゲストの佐久間良子さんのトークショーがあり、佐久間さんが東映に入社した頃の話や、撮影のエピソードなどを披露してくださった。今回のプログラムで上映される『越後つついし親不知』の撮影で、今井正監督に本当に絞られたようで、『五番町夕霧楼』の田坂具隆監督のことは「人柄も含めて尊敬する」と言っても、今井正監督のことは「まったく妥協をしない監督」と言うにとどまっていたのが、ちょっと面白いと思った。
『忠次旅日記』は元々は3部作。フィルムが失われて幻の名作と言われたものが、1991年に一部分が発見され、95分のフィルムに修復・再編集された。今回は弁士&楽団付きでの上映。しかも弁士を井上陽一氏と嘉島典俊氏の二人がつとめる。嘉島典俊氏は以前「チビ玉三郎」の名で有名になった大衆演劇の役者。現在も劇団での活動の他、NHK大河ドラマにも出演中。今回は井上氏に「物好きな」と言われつつも教えを請い、弁士初挑戦。
侠客・国定忠次は農民を苦しめる代官を切り捨て、役人に追われる身となる。映画は幼い息子を預かってもらおうと、知己の大商人の家を訪ねるところから始まり、流れ流れて、故郷の村に追い詰められ、とうとうお縄をちょうだいするところまでを描いている。多くのシーンが失われているにもかかわらず、本当に面白い! サイレントなのに、大河内傳次郎の声が聞こえてきそうや。最後のシーンでは思わず落涙。本当に面白い作品は時代を超越することを再確認。

『機動警察パトレイバー The Movie』監督:押井守、原案:ゆうきまさみ、1989年
今年の特別企画「映画が見た東京」の中の一本。DVDも出ているけど、大きなスクリーンで観たかった。
1989年時点に想像された未来の東京が面白い。下町の風景と、林立する高層ビルの対比。当時バブル絶頂期で、土地転がしにより下町がどんどん死んでいったことが物語に反映されている。そして現在の再開発ラッシュで次々と建つ高層ビル群と、映画の中の風景が重なる。レイバーと呼ばれるロボットが活躍する近未来(今や過去の時代になってしまった)を描いていて、ロボット技術は非常に高度だけど、コンピューター画面がテキストと線画のみという、技術のアンバランスさが今観ると笑える。
『攻殻機動隊』に学園ドラマのノリが、ぎりぎりのバランスを保って加わったような感じで、非常に面白かった。

彭浩翔『出エジプト記』監督:彭浩翔(パン・ホーチョン)、出演:任達華(サイモン・ヤム)、張家輝(ニック・チョン)2007年、香港

冒頭からシュノーケリングの格好をした男たちが一人の男に殴る、蹴るの暴行を加えているという、頭の中がハテナだらけになるシーンが続く。そして、シーンが一転、サイモン・ヤム扮するジムが警察のロッカーで着替えをしている。ジムは同僚に頼まれて、クワンという男の取り調べを代理ですることに。しかし、このクワンという男、女子トイレの盗撮容疑で捕まったのだが、自分は盗撮などしておらず、女たちの組織が男を消し去ろうとしている陰謀を企てている現場を撮ろうとしていたんだと言う。ジムはその奇妙な話が気にかかり、クワンを調べ始める。
冒頭のシーンは、パン監督が子供の頃に警察に勤めていた父から聞いた実話が元になっているやとか。容疑者がたとえ後になって訴えても、裁判官はとうていそんな珍妙な光景を信じられず、訴えは却下されるから、そんな格好をするんやそうや。人間、自分の想像を超えることを聞かされても、にわかには信じられへん。そんな心理をつくお話になっている。物語の着想は、監督が学生の頃、「なんで女子は連れだってトイレに行くんだ? 男には聞かれたくないような話をしているんじゃないか?」と思ったところからなんやて。いろんなアイデアを奇抜な発想で紡いでいくパン監督の作品は、やっぱり面白い。



posted by amui at 23:22| Comment(2) | TrackBack(0) | 香港電影 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
『忠次旅日記』は澤田正二郎のと見比べたかった尼さんとのやりとり(あった?)や、土蔵の場面が観られず残念でした。トークショーを後にしてほしかった〜。

『出エジプト記』は題名からしてハテナ?冒頭も狐につままれたようでした。エリザベス女王のアップの眼を壁画かと思っちゃいました。あの重厚な音楽のせいだな。
パン監督の新作の構想は、地球温暖化で沈没してしまう小さな島の住民が移住する話だそうです。どんな風に料理するんでしょ。
Posted by 白 at 2007年10月31日 10:23
尼さんとのやりとりはなかったですねぇ。土蔵のシーンは捕り方の頭の温情に思わず涙しました。
『出エジプト記』というタイトルは、劉心悠の役柄を中心にしてつけたもののようです。誰しも自分を導いてくれる人や組織を求めるものですが、彼女の場合、苦しい状況から救い出してくれると信じる対象が移り変わっていく。
でも、これはちょっとひねりすぎのような気がするな。
Posted by amui at 2007年10月31日 23:23
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